景気対策や世界的な潮流の中で、賃上げなどのニュースを見る機会も増えた今日この頃。
しかし実際に生活の中で景気の良さを実感できている方は少ないのかもしれません。
その理由として日本経済全体の景気が上向いたとしても、業種によって売上や賃上げの要因は違うもの。
そこで今回、週刊キャリアジャンプでは株式会社マイナビが発表した非正規雇用の「給与に関する業種別企業調査」を元に派遣・契約社員の賃上げ・給与上昇の状況を徹底検証。
どの業界の給与が上がっていて、将来性があるのかを独自の目線でお伝えいたします。
契約社員の給与を「上げた」社が最も多かったのは製造ライン・加工
給与を上げた社がもっと多かったのは製造ライン・加工メーカー。企業の設備投資も上昇する中で、それを動かす人手の不足が一番の要因といえるかもしれません。
近年製造業におけるAI化や自動化などが叫ばれてはいますが、AIも決してまだ万能とは言えず、自動化についても工場全体を自動化するコストというのは到底簡単に支払える額ではなく、現状の人件費との比較からも既存の体制を維持する方が得との見方が多いようです。
2000年代に入って諸外国に押され気味とはいえ日本のものづくり力というのは世界の中でも十分評価されているもの。
そうした需要のある中で、最も好景気の影響を受けているのが製造ライン・加工メーカーなのかもしれませんね。
2番目に給与が上昇したのは警備・交通誘導
2番目に給与が上昇したのは警備・交通誘導がランクイン。昨今の建設ラッシュや、セキュリティの強化などによってこちらも人手不足が顕著に表れているようです。
オリンピックも控えたこの時期はさらに需要も増えることが予想され、さらなる給与の上昇が期待できる業界かもしれません。
また自動化も言われていますが、結局のところ自動化・ロボット化した際の責任問題などが定まるのはまだ先の話でもあるので、そういった意味でも、しばらくは人による警備・交通誘導の需要というのは続くのではないかと思われます。
3番目は軽作業
ぜんぜん軽くないじゃないか!!
という苦情?をよく聞く軽作業が3位にランクイン。
こちらは1位の製造業よりも場所や時間が特定でないことも多いため、自動化というのはさらにハードルが高い業界かもしれません。
そういった意味でも人手不足の昨今において、給与が上昇するのは必然かもしれませんね。
少し気になるのは、他の業界が自動化を進めて、最後に軽作業が残った時、1つの求人に多くの人が押し寄せて、めちゃくちゃ重労働なのに自給が安い・・なんて未来が訪れないことを願うばかりです。
仕事は嫌だけど、無いのも困りますからね。。
ここからは逆に契約社員の給与が上昇しなかった企業のワーストランキングをお届け。この業界からは早々に足を洗った方が良い?!
ワースト3位は保育
昨今保育士の人手不足が社会問題となる中で、ランクイン。
この背景には恐らく、保育士が足りないとはいえ、保育園自体も足りないために、求人の枠が資格保有者に対して、先の製造業などに比べて多くないことがポイントかもしれません。
また保育費というのは景気の良しあしで上がるのもではないので、そうした点でも従業員に還元できないというジレンマもあるのではないでしょうか。
今後政策によって、保育士の給与の引き上げなどが検討されているようですが、無理やりの補助金も特効薬としては大切ですが本質的には保育園の収益の拡大=つまりは少子化の解決という大きなハードルがこの問題の裏にはあるような気がしています。
次いでワースト2位にランクインしたのは家庭教師
大学生のアルバイトとしても定番な家庭教師ですが、こちらも給与アップのワーストにランクインしました。
先の保育と同じように、こちらも景気の良しあしで売上が大きく上がる業界でもないので、そういった流れが影響しているのではと思われます。
また少子化の影響もあり顧客となる学生の数も減少しており、そうした要因もあっての結果かもしれません。
今後増えるであろう外国人労働者向けの家庭教師など新たな需要拡大の要素はあるかもしれませんが、そもそも外国人労働者を受け入れることが国としての最善策かといった議論を含めてもう少し思慮深く進める必要があるかもしれません。
栄えある上昇しなかった業種ワースト1位はホール・キッチンスタッフ
栄えあるワースト1に輝いたのはホール・キッチンスタッフ。
こちらも人手不足が叫ばれてはいますが、あまり賃金が上がらなかったようです。
外食産業は景気の良しあしも多少影響する業界かとは思いますが、それよりも長時間労働などのブラック問題の改善などであまり賃金の上昇までは手が回らかなったのかもしれません。
今後消費税増税も控え、外食産業が一時的には下がることが予想されますが、一方でオリンピック期間中などは大きな売り上げが期待されます。
新規出店や、その時期に照準を合わせる店舗なども増えてくることが予想されますので、そうした波に乗るためにもキャリアの戦略を立て直すのも一つの手かもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。どの業界を見ても人手不足は顕著ですが、その中でも需要があるかないか、景気の影響を受けるか受けないか、政策として優遇されているかなどの要因が多く絡んでいることが見て取れました。
非正規雇用として職を選ぶ際も、業界としての潮流や政策を鑑みてキャリアを選択することで、今後の正社員としてのキャリア等にもつながってくるかもしれません。
そして今回、ベスト3とワースト3を取り上げましたが、結果的には賃上げしたor下げたではなく“わからない・しない”という回答をした企業が全体で50%以上にも及ぶ結果となりました。
こうした状況の中で、やはり単純に替えが効く労働ではなく、自身のスキルをしっかりと評価してもらえる状況を作り出すことがより良いキャリアにつながるのではないでしょうか。
参考:https://www.mynavi.jp/news/2019/07/post_20810.html