社会人歴も10年程度たち、いよいよ会社の本格的な戦力としての働きが期待される30代。しかし一方で、結婚や子育てなどライフスタイルの変化による課題や、20代の頃に自分が選んだ仕事とのギャップに苦しむことも多いのが実情です。
そこで今回は、キャリアアドバイザーとして数多くの求職者を希望のキャリアに導いてきたキャリアコンサルタントの近藤氏をお招きして、30代の転職希望者が陥りがちな課題やその解決策について寄稿いただきました。
近藤
キャリアアドバイザー歴10年の転職エージェント。キャリアコンサルタントとして数々のクライアントの転職の成功に導いてきた実績を元に、web記事などを多々執筆。
厳しさ① 未経験の業界にチャレンジしづらい
30代の転職はやはりある程度経験が求められるという認識が一般的に広がっています。確かに20代よりは未経験の業界に行くには難しいことも多いですが、昨今の人手不足、さらには今後も解消される見込みがない問題ですので、そうした意味ではどの業界でも可能性が0というわけではありません。
職種つながりで、例えばメーカー営業から商社営業とか、何かしらの繋がりなどを繋ぎ合わせて徐々にキャリアをずらしていくなど工夫して転職することは可能です。
厳しさ② プレイングマネージャーとしての活躍が求められる
こちらは転職に限ったことではありませんが、30代ともなるとある程度人を使う管理職としての職能が求められてきます。
一方で完全にマネジメントに回る人もまだ少なく、ある程度自分の数字を持ちながらマネジメントも求められるという厳しい環境にある人が多いです。
転職市場でも同じように30代以上ではマネジメント経験、もしくはその意向が求められることは多々あり、本来的には希望していなくても、ある程度譲るポイント譲らないポイントを精査して、マネジメントも担うというキャリアを考えることも大切になります。
厳しさ③ 家庭生活とのバランスが難しい
30代の転職となると、20代のころに比べて、子育てや家庭を持っている人の割合も多くなります。
その際、子育てか、自身のキャリアかで大きく揺れ動く人も多いのが実情です。
しかし本来的には0か1かで考える話ではなく、どちらも充実して送るべきなのが人生であり、もし、今いる会社がどうしてもキャリアと子育てを0か1かで選ばなければならない環境であれば、転職を視野に入れることも大切になります。
実際、昨今キャリアと子育てをうまく両立させている会社も徐々に増えてきており、そうした意味でも、視野を広げるためにも転職の選択肢を頭に入れておくとよいでしょう。
厳しさ④ 出向や異動などでキャリアの先が見えてしまう
30代でもうひとつよくある課題となるのが、出向、異動などの人事で、キャリアの先が見えてしまうという問題があります。
その場合今いる会社での先はあまり見込めないので、これから先の長いキャリアを考えたら転職という選択は非常に効果的な選択肢となります。
一方で注意が必要なのは、本人が左遷ととらえていても、必ずしも会社としては左遷のつもりがないということも、コンサルティングを行っていてよくあることです。
数年の経験を積んでから管理職に、と考えての異動もありますので、必ずしも安直に悲観的にとらえずに、会社がどのような意図でその人事を行ったかを冷静に判断する必要はあります。
そうした相談も転職エージェントもしっかりと相談に乗ってくれるので、必ずしも転職が選択肢になくても、一度相談してみることは大切と言えるでしょう。