コピーライターとして転職を目指す人や、今後キャリアを伸ばしていきたい人にとって、
「どんな本から学ぶべきか?」は最初の分岐点になります。
この記事では、現役コピーライターである筆者が実際に読んでよかった/繰り返し読み返している本だけを厳選して紹介します。
「表現」だけでなく「思考・戦略・企画・構造」にまで踏み込み、
これからの時代に“使えるコピー”を学ぶための本を7冊まとめました。
はじめに:本を読むだけではコピーは書けないけれど
コピーライター志望者の多くが勘違いしがちですが、
本を読んだからといって、コピーが急に書けるようになるわけではありません。
でも、書くための「思考の骨格」や「表現の選択肢」を持っていないと、
いくら練習しても手癖でしか書けないままになる。
だからこそ、本を読む意味は、“自分の中に構造を入れる”ことです。
読みながら「この考え方、自分にとって必要かも」と思った瞬間が、
コピーライターとしての伸びしろにつながっていきます。
① 『広告コピーってこう書くんだ!読本』谷山雅計
「広告コピーは、課題解決である」。この一言に尽きます。
この本が伝えてくれるのは、コピーが「思いつきの表現」ではなく、
“戦略から導かれる言葉”であるという事実です。
たとえば「剣豪コピー」「将軍コピー」という例え。
・剣豪コピー=短期的に強く売るコピー(刹那的なインパクト)
・将軍コピー=ブランド全体を前進させるコピー(長期的な価値)
この2つをどう使い分けるか?
広告におけるコピーの立ち位置と効能が、言語化して理解できるようになる名著です。
- コピーを“企画の一部”として考えられるようになる
- 表現と戦略の橋渡しが上手くなる
- ポートフォリオを「なぜこの言葉にしたか」で書けるようになる
② 『ここらで広告コピーの本当の話をします』小霜和也
「コピーとは戦略提案である」。これもまた真理。
プレステや名だたるブランドコピーを手がけた著者が、
“かっこよく書く”ではなく“戦略として通す”ためのコピーの本質を語っています。
コピーライターの仕事を「伝える言葉を考えること」だと思っている人に、
「伝える構造を設計する仕事だ」と気づかせてくれる1冊。
- コピーライターの“姿勢”をロジカルに学べる
- 志望動機に“コピー観”を込めたい人におすすめ
- 昭和的ノリじゃない、考える言葉を書く人になるための本
③ 『テーマで学ぶ広告コピー辞典』
アイデアが出ないとき。
言葉が“思いつき”の域を出ないとき。
この本は、助けになります。
さまざまな広告コピーが、**「どんな戦略テーマで作られているか」**という分類で掲載されていて、
読んでいるだけで「コピーって、こういう切り口で考えられるんだな」という構造が身につきます。
- 思考と表現の間に“筋”が必要だと感覚的に学べる
- 志望動機/PFで「自分なりの切り口」を持てるようになる
- 単なる写経本じゃなく、設計力を養うヒントが詰まっている
④ 『超分類!キャッチコピーの表現辞典』
正直に言うと、内容は浅いです。
でも、浅くていいときってあります。
- レトリックを学びたいとき
- 切れ味ある表現を作りたいとき
- 気軽にパラパラ見て“言葉の引き出し”を増やしたいとき
「本質的な思考」を学ぶ本ではありませんが、
記憶に残す/インパクトを出す/エモさを出すなど、
コピーとして“効かせる”技術を気軽に仕込める、辞書的1冊です。
- バナー・ポスターの引き出しを増やしたい人に
- 思考じゃなく、手を動かしながら学びたい人に
- 書いていて“言い換えに詰まった”ときに重宝します
⑤ 『コピー年鑑』(TCC/宣伝会議)
結局、最強の学びは「写経」です。
過去のコピー年鑑を写して、その言葉のリズムと構造を身体で覚える。
広告界隈では「とにかくコピー年鑑を写せ」という文化があります。
実際、令和の広告で心を動かすクリエイティブをつくっている人たちは、
昭和のコピーを写してから育っている。
「見て盗む」ではなく、「書いて染み込ませる」。
そのための教材として、これ以上のものはありません。
- どのコピーに惹かれるかで、自分のタイプもわかる
- コピーの“型と骨格”が自然と身につく
- 書いててつまらなくなったときに読むと「コピーやろ」ってなる
⑥ 『未来は言葉でつくられる』細谷高広
コピーライティングを「表現」としてではなく、
“経営とブランドの言語設計”として捉えたい人におすすめ。
経営者の言葉、ミッション・ビジョン、社会との接点。
「企業はどんな言葉で未来を定義するべきか?」を問う本です。
- 企業ブランディング/トーン整備に携わりたい人向け
- インハウス志望者には必読の視座
- コピーライターが“経営のパートナー”になる未来を描ける
⑦ 『ズルい仕事術』佐久間宣行
元テレ東プロデューサーで『ゴッドタン』『あちこちオードリー』を手がけた佐久間さんの仕事論。
コピーライターではないけれど、**“広告に限らない企画職”としての生き方”**を学べる1冊。
・肩書きに縛られない
・何がウケるか?ではなく、自分が何を届けたいか?
・他人より“自分のやりたいこと”を先に明確にする
そんなメッセージが、やさしく、でも鋭く伝わってきます。
「言葉で企画を通す」「アイデアで道をつくる」すべての人におすすめ。
まとめ|“書くために読む”なら、本質がある本を選ぼう
- コピーは「思いつき」じゃなく「設計」だと気づかせてくれる本
- 思考と表現の間に“構造”があることを感覚的に学べる本
- 書けなくなったとき、“考え方”を言葉に戻してくれる本
コピーを学ぶ本は、たくさんあります。
でも本質に触れられる本は、そう多くありません。
この記事の7冊は、コピーライターという職業に“思考・姿勢・戦略”という背骨を与えてくれる本たちです。