戦略や企画もおもしろい。でも、「手で“つくる”こと」には、また違った充実感がある。
映像そのものに魅せられた人が、最後にたどり着くのが**CM制作会社という“現場”**です。
なかでも東北新社(TOHOKUSHINSHA FILM CORPORATION)は、“映像制作の職人集団”として長年その道を極めてきた存在。
この記事では、CM制作会社の基礎から、東北新社の働き方・評判・カルチャー、そしてAOI Pro.・電通クリエイティブピクチャーズ・博報堂プロダクツとの違いまでを現場目線で整理します。
CM制作会社とは?広告代理店との違いも
CM制作会社は、広告代理店が立てた戦略や企画を、映像というアウトプットに仕上げる専門集団です。
- 広告代理店:企画・戦略・プレゼン・メディア設計など上流工程
- 制作会社:演出・撮影・編集など表現と実装の実働部隊
代理店が「何を言うか」を構築し、制作会社が「どう伝えるか」を手がける関係。
東北新社は、この「どう伝えるか」に命をかけてきた、日本屈指の映像クラフト企業です。
東北新社とは?──60年以上、映像制作を極めてきた“職人の砦”
東北新社は1959年創業。
TVCMから映画、ドラマ、アニメ、吹替、ゲーム映像まで──多彩な映像ジャンルに対応してきた“日本映像制作界のインフラ”とも言える存在です。
広告業界では、「あの東北新社にいたなら間違いない」と現場で信頼されるほど、技術力と管理力に定評のある会社として知られています。
さらに、これまで在籍していた人材の顔ぶれも特筆に値します。
- なかじましんや氏(有名CMディレクター)
東北新社出身で、日本のTVCMに“物語と絵作り”という価値観を持ち込んだ人物。 - 元総理・菅義偉氏の息子(ディレクター)
制作現場で誰よりも腰が低く、クライアントからの信頼も厚い“本当にいい人”として、社内でも評価されていたとの声もあります。
実力・人柄の両面で信頼される人材が集まる現場。 それが東北新社の本質です。
特徴①:プロデューサー主導で“完成度”を担保する体制
東北新社では、プロデューサーを中心に案件を進行するクラシックな体制を採用しています。
- 撮影・編集・MA(音響)を内製で完結
- PM(プロダクションマネージャー)とタッグを組み、進行・品質を徹底管理
- 経験豊富な技術スタッフと現場を構築し、安定した仕上がりを提供
つまり、“演出家主導”や“自由度の高い企画演出”ではなく、信頼できる品質と工程の安定感こそが、東北新社のブランド力です。
特徴②:「OND°(オンド)」による企画・表現力の拡張
2023年に立ち上げられた社内クリエイティブユニット「OND°」は、東北新社の“クラフト重視”という伝統に新しい価値観を持ち込んでいます。
- 企画・演出・編集・撮影・グラフィックを横断する社内専門チーム
- デジタルコンテンツやソーシャル動画など、新しい表現領域にも対応
- 若手でもコンテ提案やプレゼンの機会あり
OND°の登場により、「撮るだけの会社」から「発想もできる制作会社」へと変化中です。
特徴③:「企画制作部」も1年目はPM経験あり=現場理解を深める人材育成
東北新社の育成方針でもうひとつ特筆すべきなのが、企画職でもまずは“制作の裏方”を体験させるという制度です。
1年目は企画制作部であっても、**PM(プロダクションマネージャー)として撮影現場の実務に入る期間があり、**プロジェクト全体を把握する力を養います。
- 全体像を見ながら“チームの動き”と“映像の流れ”を学ぶ
- 自分の役割が現場にどう影響するかを体感
- 裏方の大変さや技術職への敬意を知る機会になる
これにより、「クリエイティブしか見ていない新人」が生まれない仕組みになっています。
評判・口コミまとめ
良い点
- 「プロの技術者が揃っていて緊張感のある現場」
- 「OND°で若手も企画に関われるようになってきた」
- 「撮影・編集・音響まで社内で完結できる安心感」
- 「1年目から現場に出ることで、本当に映像が好きかどうか自分で分かる」
悪い点
- 「体育会気質が残る部署もある」
- 「PMや技術職の負荷が高く、体力が要る」
- 「育成に時間がかかる分、自走できない人には厳しい」
他社との比較:どこがどう違うのか?
会社名 | 所属 | 特徴 | 向いている人 |
---|---|---|---|
東北新社 | 独立系 | プロデューサー主導、撮影~MAまで内製、OND°あり | 手を動かして“技術で語る”映像をやりたい人 |
AOI Pro. | 独立系 | 直案件・演出提案・海外展開あり。ディレクター裁量が大きい | 表現を武器にしたい/演出家志望の人 |
電通クリエイティブピクチャーズ(旧:電通クリエイティブX) | 電通本体 | 戦略設計から映像までを代理店内で完結させる | 組織で成長したい人/戦略と制作のバランスを学びたい人 |
博報堂プロダクツ | 博報堂系 | 映像、空間、販促、印刷など多領域をカバー | 横断的にキャリアを築きたい人 |
どんな人に向いているか?
向いている人
- 撮影・編集・音響といった“技術”にこだわりたい人
- CM制作の「現場力」を徹底的に学びたい人
- チームでつくること、裏方の偉大さを知っている人
向かない人
- 企画だけやりたい/戦略設計だけに関わりたい人
- 自由に演出したいタイプ(→AOIの方が向いている)
- 裁量を与えられないと動けない人
転職におすすめのエージェント
- マスメディアン
映像業界全般に強く、東北新社のような“職人気質の会社”にもしっかり対応。カルチャー理解も深い。 - HIGH-FIVE(ハイファイブ)
現場出身のコンサルタントが多く、PMやディレクターの働き方について具体的に相談できる。面接前の“現場温度調整”に最適。
まとめ:東北新社は“映像で食っていく覚悟”を持つ人の現場
何をつくるか、だけじゃない。
どう撮るか、どうつなぐか、どう音を重ねるか。
東北新社は、映像の“どう伝えるか”に一生向き合う会社です。
器用さではなく、映像への真面目さ。
目立つより、映像の完成度を追い求める。
そんなあなたにこそ、向いています。
総まとめの箇条書き
- 東北新社は60年超の映像クラフト集団。撮影〜MAまで内製
- プロデューサー主導の進行管理で、品質と安全を担保
- 「OND°」で企画提案にも力を入れ始めている
- 1年目からPMを経験し、チームと現場の苦労を学べる制度あり
- 過去には、なかじましんや氏や菅前総理の息子も在籍
- 転職にはマスメディアン/HIGH-FIVEの活用がベスト