広告代理店と制作会社、どちらに転職すべきか迷っているなら、その“中間”にある会社を選ぶという道もあります。
博報堂プロダクツ(HAKUHODO PRODUCT’S)は、まさにその代表格。制作会社でありながら、広告的な戦略思考も持ち合わせ、博報堂グループの一員として大手案件にも携われる。そんな“ハイブリッド型の制作会社”です。
この記事では、博報堂プロダクツの働き方や評判、そして電通クリエイティブピクチャーズ・東北新社・AOI Pro.といった他社との違いも含め、現場目線でリアルに掘り下げていきます。
「広告と制作の間にある会社」──博報堂プロダクツとは?
博報堂プロダクツは、博報堂DYグループに属する総合制作会社。
TVCM、グラフィック、Web、イベント、店頭施策、ダイレクトマーケティング、デジタルサイネージ、印刷まで、“実行”をすべてカバーするのが特徴です。
その本質は、「広告的な思考ができる制作会社」であること。広告主に最も近い場所で戦略と表現をつなぐ、“広告代理店出身者が制作に行くなら、まず検討すべき会社”とも言えます。
特徴まとめ
- 戦略と制作を横断:マーケ視点のある制作プランナーやディレクターが多く在籍
- 大手案件に携われる:博報堂グループ案件の実行部隊として、多数の有名ブランドを担当
- 幅広い表現領域:映像に限らず、空間、販促、印刷などの体験設計も手がける
働き方の実態とカルチャー:代理店とも制作会社とも違う
博報堂プロダクツのカルチャーは、“広告代理店的なロジカルさ”と“制作会社的な現場感”の両方を持ち合わせている点が特徴です。
- ディレクター/プランナーでもマーケティングに強い
「この映像で何を達成するのか」「どんな体験に落とし込むか」といった考え方が根づいています。表現だけでなく、設計にも関わりたい人には向いています。 - 幅広い領域=広く浅く? それとも引き出しが多い?
領域が多岐に渡る分、「専門性を高めたい人」より、「引き出しを増やしたい人」にフィットします。TVCMだけを極めたい人にはやや不向きです。 - 博報堂との“近さ”がキャリアを左右する
案件の多くが博報堂経由のため、広告主との直接交渉ではなく、広告代理店とチームを組むスタイルになります。そのため、「広告代理店的な進め方」に慣れている人には非常に働きやすい環境です。
要点まとめ
- 表現だけでなく戦略にも興味がある人にフィット
- 引き出しを増やしたい人には最高の現場
- 広告代理店的な思考・動き方が身につく環境
他社との比較:電通クリエイティブピクチャーズ/東北新社/AOI Pro.
● 電通クリエイティブピクチャーズ(旧:電通クリエイティブX)との違い
- 電通CPは“電通直属の制作組織”であり、純粋な代理店系。映像・グラフィック・Webなどをワンストップで企画・制作する体制が特徴。
- 一方、博報堂プロダクツは“実行部隊寄り”で、より制作現場に深く入り込みます。代理店からの一方的発注ではなく、チームとして並走するスタンスです。
→【違い】戦略から企画を一気通貫でやりたいなら電通CP、実行に深く関わりたいなら博報堂プロダクツ。
● 東北新社との違い
- 東北新社は“映像クラフトのプロ”。映画・ドラマ・CMの制作において、撮影や編集などの技術的な完成度を極める会社。
- 対して博報堂プロダクツは、クラフトよりも“コミュニケーションの設計”が軸。クオリティより“課題解決”を重視する思想です。
→【違い】映像表現を突き詰めたい人は東北新社、全体設計まで視野に入れたいなら博報堂プロダクツ。
● AOI Pro.との違い
- AOI Pro.は、演出家を中心に動く“演出力の会社”。直案件も多く、表現の自由度が高い反面、営業や案件獲得の側面も求められます。
- 博報堂プロダクツは、演出より“設計”に強み。博報堂の案件に乗ることで、安定した制作ラインが整っています。
→【違い】自由な表現を追い求めるならAOI Pro.、安定した大型案件で設計力を磨くなら博報堂プロダクツ。
博報堂プロダクツの評判・口コミ
社員や元社員の口コミから浮かび上がる実像をいくつかピックアップします。
ポジティブな声
- 「グループ会社ならではの安定感がある」
- 「広告代理店と密に連携するため、戦略的思考が鍛えられる」
- 「制作領域が広いので、新しい表現に挑戦しやすい」
- 「営業と制作の距離が近く、納得感のある提案ができる」
ネガティブな声
- 「領域が広すぎて、自分の専門性を深めるには物足りない」
- 「代理店主導の案件が多く、決定権は代理店側にあることが多い」
- 「納期が詰まっている案件が多く、調整力が求められる」
→要するに、「守られた中で挑戦できるが、裁量を求めすぎると物足りなさもある」という立ち位置です。
どんな人が向いているか?
博報堂プロダクツが向いている人はこんなタイプです:
- 表現だけでなく、設計や戦略にも関心がある人
- 安定した企業で、かつ幅広い経験を積みたい人
- 広告代理店の進め方に慣れていて、制作もやってみたい人
- 「一点突破型」より「横断型」に魅力を感じる人
逆に、映像表現にこだわりたい人や、ベンチャー気質の自由さを求める人にはやや物足りないかもしれません。
転職にはこのエージェントを使うべき
- マスメディアン
広告・制作業界に特化した老舗エージェント。グループ企業情報や文化的な違いも丁寧に説明してくれます。 - HIGH-FIVE(ハイファイブ)
現場出身のコンサルタントが多く、制作会社と代理店の“中間”にある会社に強い。実務理解に基づくアドバイスが魅力。
まとめ
博報堂プロダクツは、広告と制作の“ちょうど真ん中”に位置する会社です。
映像やグラフィックにとどまらず、空間や販促、印刷まで含めた“全体設計”を考えられる人材が求められています。
「広告代理店にいたけど、もっと作りたい」
「制作会社にいるけど、もっと設計や戦略に関わりたい」
──そんな人にとって、ベストなキャリアの“着地点”になり得るのが、博報堂プロダクツです。
総まとめの箇条書き
- 博報堂プロダクツは、広告と制作の“中間”にあるハイブリッド企業
- 戦略的思考ができる制作職に魅力がある
- 映像以外の体験設計も領域に含まれる
- 電通CP/東北新社/AOI Pro.との違いは「設計×表現×自由度」のバランス
- 安定と成長を両立したい人には向いている
- 転職にはマスメディアンとHIGH-FIVEの活用がおすすめ